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12月議会 一般質問3日目(12月9日)

 

今日、浅野議員が「ふるさと納税」について一般質問しました。

さて、「ふるさと納税」の考え方を理解するのに一番良いのは、「『ふるさと』の発想」という本を読むことだと思います。

著者は「ふるさと納税」発案者、西川一誠福井県知事です。

本から印象に残るところを抜粋します(抜粋は青字です)。

「『ふるさと納税』は、人びとのふるさとへの気持ちに具体的な形を与えるための仕組みである。それは、納税の形を借りた寄付であることから、都市と地方の対立関係を見直し、また民主主義の充実に貢献するなど新しい可能性を持っている。」

「地方の自治体は自らの税金で子どもたちを育て都会へ送り出している。」

「一方、大都市は彼らの保育や教育は地方に委ねている結果となり、税だけを受け取ることとなる。・・・・地方と都市の間で税の収支バランスが崩れているのである。」

「しかもこのアンバランスは巨額である。・・・福井県では、毎年約3000人の若者が進学や就職などにより県外に出て行く。そのうち戻ってきてくれるのは約1000人。毎年約2000人が減ってゆく計算である。」

「福井県で成長する若者が出生から高校卒業までに受ける行政サービスの総額は、一人あたり約1800万円である。ざっと計算して数百億円規模の公的な支出が、大都市へと流出しているのと同じことになる。」

「ライフサイクル・バランスを正そうという考え方は『ふるさと納税』が構想された際の、基本になっている。」

 

この「ふるさと納税」は本当に興味深いアイディアです。

・・・が、一般には「ふるさと納税=返礼品」になっていないでしょうか?

 

さて、敦賀市の「ふるさと納税」は、各自治体で繰り広げられている「返礼品競争」には参加していません。

じゃあ敦賀市へふるさと納税したとすると、1万円以上の寄附者(=ふるさと納税者)には12種類の伝統菓子と商品が詰め合わされた「敦賀の宝箱」がもらえます。

他市町のパソコンやら4Kハイビジョン液晶テレビやらゴルフプレー券やら仏壇やらと競争する気は初めからありません。

敦賀市も返礼品の品目をすこし拡大するとか、寄附金の還元率を寄附金額に応じて変えるとか、少し工夫します。しかし、返礼品競争に参加するという意味ではありません。基本方針は変わっていません。

 

次に、「『ふるさと』の発想」は「納税者主権」も提唱しています。本にはこうあります。

「納税先の自治体と使ってほしい施策を直接自分で選べるようになる。」

ということで、敦賀市では納税者が、寄附金の使いみちを指定できるようになりました。

「商業・観光の振興」や「子育て支援」「文化財の保存、活用」、「人道の港周知、拡大」などを対象に目的基金に積み立てるのです。

このように敦賀市の「ふるさと納税」は、「『ふるさと』の発想」と同じ発想です。「『ふるさと』の発想」を忠実に体現しています。

 

ここで敦賀市の「ふるさと納税」の収支を見てみましょう。

まず入るほう。

敦賀市では、ふるさと納税で今年度入ってきている金額は10月で約83万円ですから、今年度トータルでは150~200万円くらいになりそうです(米澤の予想)。

次に出ていくほう。

平成27年の1年間で、ふるさと納税で敦賀市から他の地方自治体に出て行った金額は約5,500万円。

結果、

プラスマイナスで差引おおよそ5000万円のマイナス。

つまり、

「敦賀市は自らの税金で子どもたちを育て、都会へ送り出してしまうのでその子どもからの税金は入らず、その子たちは『ふるさと納税』も大してしてくれない。しかも、敦賀市民は他の自治体に『ふるさと納税』しているので税収が落ちる。」となって

「出費+入ってこない+減る」のトリプルパンチです。

さて、どうしましょう?

豪華返礼品を用意して、ふるさと納税の税収(正しくは寄附)を増やしましょうか?

「『ふるさと』の発想」にはこう書いてあります。

「最近では金額競争の様相を帯びてきた。しかし、今、大切なことは、まず制度を広く国民に知ってもらうことである。」

つまり、制度の認知度が上がるまでは競争もやむを得ない、ということです。

しかし、「ふるさと納税」制度の認知度はもう十分に上がったのではないでしょうか。ちなみに、「『ふるさと』の発想」は2009年に出版されています。もう7年経ち、「ふるさと納税」制度の認知度は十分に上がったと思います。

私は、

①返礼品競争には参加しない(今回の返礼品拡大くらいはOK)。

②福井県と一緒になって、「ふるさと納税」にルール(返礼品上限、とか納税先(寄附先)の限定)を付け加えるよう、国に要請する。

が良いと思います。

過度な返礼品競争は、おかしい。総務省通達が出て、返礼品についても「良識ある対応を行うこと」となっています。

ところが、総務省通達が出ても、まだ競争は続いています。

でも、おかしい競争に参加する必要はない。それで収支のマイナスが出てもやせ我慢すればいい。

そういう意味では、敦賀市の現在の対応は、非常に良識を感じさせる、良い対応だと思っています(←今回一番言いたいことは、ここ)。

とにかく、国はルールを作り直してほしい。

早く「ふるさと納税」の原点に立ち返るべきだと思います。

いみじくも、「『ふるさと』の発想」にはこう書いてあります。

「この制度も毎年の実行性を検証しながら、絶えず納税者の要望に応えられるような制度改善が必要である。」

良心的に、良識的に運営している自治体が損をするような制度は改善してほしいものです。

では。

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