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コロナウィルス対策の経済的支援 第5回

 コロナウィルス対策の経済的支援についての第5回です。今回は市が行う経済的支援について、財政面から考えます。

1.財源は何か

 今回の経済的支援策の一般財源ですが、最終的には「財政調整基金」を取り崩すことになるでしょう。

 「財政調整基金」とは?

 歳入も歳出も年度によって増えたり、減ったりします。これは仕方のないことですので、赤字になりそうなときに「財政調整基金」を取り崩して、支出にあてます。また、災害対応など緊急的でやむを得ない支出にも使われます。

 は「歳入<歳出」で赤字になったら「赤字国債」を発行します。一方、幸か不幸か、は法律で「赤字地方債」は発行できません。そこで「財政調整基金」を取り崩して、支出にあてます。

 ということで、この財政調整基金」は、本質的には「将来世代のための貯金」ではないです。多ければ多いほどよいとも思いません。ここに多く貯めすぎるくらいなら減税したほうが良いとすら私は思っています。

 

 また、「財政調整基金」以外にも、いずれ国からのコロナウィルス対策交付金が市に入ってくると思いますので、それを財源に新たな支援策が出てくるかもしれません。

 

2.規模をどう考えるか

(1)今回の敦賀市の支援規模

 敦賀市の経済的支援は「中小企業者事業継続支援給付金」で約10億円です。金額は県内他市町と比べてもトップレベルの規模です。(これだけの規模で支出したということは、「今の敦賀市は健全財政を目指しているから、経済的支援は我慢しようよ」という段階ではなくなっていて、「この規模でよかったのか。この使い方でよかったのか」の段階です。)

(2)健全な財政を崩さないか

①「財政調整基金」の適正規模って?

 教科書的に言うと「財政調整基金」は「標準財政規模の10%以上」とか「標準財政規模の5~10%」とか書かれています。「標準財政規模」とは「人口が○○人だったらフツーに(標準的に)行政をすればこれくらいの財政規模になるよね」という数字で、敦賀市の場合は約160億円。ということは10%だと16億円も財政調整基金があれば、歳入、歳出の変動や急な災害対応もできるだろう、ということです(教科書的には)。

②平成29年度の福井市

 記憶に新しいところで、福井市は平成29年度に台風と豪雪のダブルパンチを浴び、この財政調整基金をほぼ全額取り崩しても実質収支が赤字になり、事業縮小や先送りをして、まだ足りず、最後は職員給与を1割カットしました。

 この時の福井市の標準財政規模は約586億円。この10%とすると58.6億円の財政調整基金を持っていたかったところですが、実際には20億円しか持っていなかった。これは標準財政規模の3%。

 実はここ数年、全国各市町の財政調整基金は増加傾向にあります(敦賀市もご多分に漏れず、財政調整基金を積み増しできています)。政府は「国が借金をして地方にお金を渡しているのに、地方はお金を貯めているとはどういうことだ!?」と怒っているくらいです。そんな中、福井市は十分な財政調整基金を持てていなかった、ということになります。

③じゃあ敦賀市は今回いくら使えるのか。

 本当は、「どういう方針で支援してどれくらいの支出が必要か」ということが大事ですので、「いくら使えるのか」というのは考える順番としてはおかしいのですが、あえて計算してみます。

 今年度の敦賀市の財政調整基金は約33億円。標準財政規模の20%になります。

 敦賀市が10億円を取り崩しても、財政調整基金は約23億円残るので問題のない水準だといえます(←今ここです)。

 さらに支出を考えるとすると・・・、標準財政規模の10%=16億円はキープするならば、あと7億円は支出することは可能です(教科書的には)。

④しかし、考える順番としては!

 しかし、考える順番としては、「企業支援で10億円支出→その後、市民から現金給付の強い要望→あと7億円は支出できますよ」っていう順番はおかしい。

 最初に「支援すべき対象と内容→必要な規模」と「支出できる規模」をすり合わせて事業者や個人向けをひっくるめてパッケージで出すべき。

 「10億円は使ったので、残りでどうして欲しいですか」はおかしい。それなら、「その前になんでそういう優先順位になったのか説明しろ」と言いたくなります。

 

3.これからのこと

 このシリーズの第4回で私が好き勝手に書いた支援策でも10億円にはならない、と思っています(非情にも貸付とかが多いので、一旦支出しても戻ってくる予定。その代わり事業継続できるように意地でも支援する。)。

 それくらい、今回の敦賀市の「中小企業者事業継続支援給付金:10億円」の規模は大きい。内容にも言いたいことがある。敦賀市の景況感は去年の4~6月期にはもう悪化していたのに、売上が20%以上の減だと対象範囲が広くなりすぎないか。国や県の給付金が入っているところにも追加給付されるのもどうなのか(県外他市町でも20%減の区切りにしつつ、国、県(府)の支給対象は外しているところがある)。経営規模に関わらず一律40万円の給付で、どれくらい経営改善に寄与できるのか。次に大きな災害や感染症や経済危機が来た時に、同じような現金支給を求められる余地をつくったのではないか・・・。

 

 それはさておき、

 「これからのこと」が大事、と言う話です。

 私は、6月議会に向けて補正予算を組んでいく中でどんな事業が出てくるかに注目しています。

 注目点は「さらなる支援があるか、ないか」だけではありません。

 私は、今すぐ「この冬」のことを考える必要があると思っています。

 それは何かと言うと、まず新型コロナウィルスの感染拡大の第2波対策や「新」新型コロナウィルス対策です。

 今のところ、敦賀市には感染者が出ていません。しかし、テレビでも特集されていたように、一人でも感染者が出ていたら敦賀市の現在の医療態勢では対応しきれたか難しいところです。少しでも改善してほしい。

 イメージとしては、この冬に感染症によって緊急事態宣言が出るような状況を想定します。力を入れたいところは、

 ・病院の重症者対応の強化(感染症病床/ICUなど重症患者用病床、機器/装置、装備)

 ・マスクや防護服等の備蓄

 ・教育のオンライン化対応

特に病院の対応力強化は重要です。

 このような施策に緊急支出しつつ、財政調整基金については、来冬にまた経済的支援が必要になる可能性も頭に入れておかなくてはいけない。

 冬に何もなければ、それに越したことはない、です。ただ、「備えあれば憂いなし」。

 

ではまた次回。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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