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「敦賀・黒河小児童は3人きょうだい当たり前」から話を広げてみる(第6回最終回)

 さて、ちょっと間隔が空きましたが、”「敦賀・黒河小児童は3人きょうだい当たり前」から話を広げてみる”シリーズの6回め、最終回です。

 今回のテーマは「子どもを増やそう!」です。

1.最初に結論

最初に私の考えから結論的にスタートです。

①「母親候補者」の定住率、Uターン率をアップさせる施策を打つ。

 特に新卒Uターン率をアップさせる。

②男女のカップリング(結婚も含む)を促進する施策を打つ。民間の婚活支援会社と提携する。

③敦賀に住むことができる職業スキルを身につける教育を推進する。

 

2.前回のブログの問題提起から・・・

 前回のブログの最後で、いくつか問題提起してみました。私なりの答えを付けてみると

・(問)都市部と地方で同じような少子化対策で同じような結果になるでしょうか?

  →(答)No.

 都市部と地方では全く事情が異なります。東京は保育所を増やして待機児童を減らしつつ、手ごろな住宅供給を増やすことで「出生率の上昇」につなげましたが、おそらく敦賀市では同じことは起きません。

 敦賀市は市役所が言うとおり待機児童はゼロですし、インフォーマルケア(おじいちゃん、おばあちゃんによる孫の世話など)も受けやすいし、住環境は都会に比べてはるかに良いのですが、前回にグラフで見たように出生率は1.50まで下がっています。子育て環境をより良くするという意味で保育園の定数を弾力的に運用することとには賛成ですが、子ども人口の増加につながるとは思えません。

 (余談なので読み飛ばしてもらってもいいですが。経済学的には、「他県の地方自治体に比べ保育環境が良い敦賀市(他の嶺南市町も)では、『出生数の増加』に対して『保育環境の改善』の限界効用は逓減している」ということになるんだと思います。子ども医療の補助なども限界効用は逓減しており、移住マインドを刺激するような制度拡充はもう難しいと思います。)

 また、兵庫県明石市は「やさしいまちを明石から」、「子どもを核としたまちづくり」をスローガンに、子ども増、人口増、税収増で有名になっていますが、大阪、神戸への通勤圏でJRや山陽電鉄沿線の他の市町との競争に勝っているという事情が敦賀市と大きく違います。

 このように、

 少子化対策はその地域に合わせて、自分の頭で考えたオーダーメードでないと効果は期待できないと思います。

 

・(問)出生率を上げることが少子化対策の肝になるのでしょうか?(合計特殊出生率が2.07で敦賀市の人口は維持できるでしょうか?)

  →(答)No.

 すごく単純化して言うと、

敦賀市で生まれる子どもの数=子どもを持つ可能性のあるカップル数 ✕ 出生率

です。

 出生率を2.07とか3.00に上げても、子どもを持つ可能性のあるカップル数が減少傾向だと生まれる子どもの数は減ります。東京都の出生率が全国ワースト1位なのに子どもの数が増加するのは若い人がどんどん流入しているからです。

 敦賀市の場合は出産適齢期層の人口が減っている上に、ここ数年出生率も急降下しているので、出生数は激減してきます。

 上の式では「子どもを持つ可能性のあるカップル数」と書きましたが、これを要素分解すると、

子どもを持つ可能性のあるカップル数=母親になる候補者の数 ✕ カップル成立率

になります。

 「母親になる候補者」とは「若い女性カテゴリー」ということになります。このカテゴリーの人口が流出する限り、いくら子育て支援施策を打っても、その施策を享受する人たち自体がいない→施策の効果がなく、子ども人口は増えない、、、ということになります。

 

3.最後に結論

 ということで、最初に示した結論をもう一度。

①「母親候補者」の定住率、Uターン率をアップさせる施策を打つ。

 特に新卒Uターン率をアップさせる。

②男女のカップリング(結婚も含む)を促進する施策を打つ。民間の婚活支援会社と提携する。

③敦賀に住むことができる職業スキルを身につける教育を推進する。

 この一つ一つを説明していくと、またブログが長くなるので、またの機会に。ここが肝心なのは分かりつつ。

 

4.「第7次敦賀市総合計画」について

 敦賀市は令和3年3月に「第7次敦賀市総合計画」を発表しました。この計画は、今後の人口減少対策である地方版総合戦略を統合して策定されています。

     →「第7次敦賀市総合計画」はこちら!

 この総合計画では、様々な市の施策により、2020年~2025年で国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の予測(いわゆる自然体)よりも敦賀市の人口を343人増やすことになっています。この343人のうち122人分は、「子育て環境日本一プロジェクトの保育園・児童クラブの充実等により122人増加を見込む」となっています(下の図は敦賀市ホームページより抜粋)

 でも、本当にそうなの?私は「明石市と敦賀市は違うよ」と上で書いたように、敦賀市の場合、子育て環境向上と子ども人口増は分けて考えた方が良いと考えています。

 以前にもブログで書いたように、敦賀市の人口減少に対する現状認識と私の現状認識はだいぶ違います。市が自分たちの政策を肯定的に評価したい気持ちは分かります。

 ですが、シンプルに数字を拾い、グラフを作り、その時々の社会情勢を確認しながら経年変化を追い、そして他市町と比較すると、私はどうしても同じ結論にたどり着けません。

 一方で、産業振興やICT、DXの施策を進める計画になっていますので、その中では、私が書いたような、特に若い女性と親和性の高い職種の企業誘致を望みたい。また、地元敦賀で働くことを可能にするようなスキルを身につけられるような教育も考えていってほしい。ふるさと学習で地元が好きになっても、地方に住むにはスキルが必要だと私は思っています。

 こういったことには、今後の政策に素直に期待したいです。

 

 では。

 

追記1)「母親候補者」とか「若い女性カテゴリー」書きますと、女性やLGBTQの立場をどう思っているのか?という意見もあるかと思います。人口問題ではどうしてもこういう直接的な言葉を使ってしまうことがありますが、私としてはもちろん他意はなく、いろんな考え方や立場は常に尊重して考えているつもりです。

追記2)カップリングで言うと、福井県の施策で「ふくい婚活カフェ」というのが有り、AIマッチングなどをやっています。もっと地域で手厚いサポートできればいいな、と思いますし、民間の会社のノウハウも活用していくとよいと考えています。また、結婚という形態をとらないカップルについても、出産や子育てにおいて制度上の公平性を確保していく必要があるというのが私の考えです。

    →「ふくい婚活カフェ」はこちら!

追記3)敦賀市の人口減少問題で、ひとつ楽観的に考えるとすれば・・・、「もし社人研の推計が、原子力発電所の従業者数が大幅に減少した頃の急激な人口減少のデータをそのまま直線を引っ張って、2020年以降の推計を出しているとすると、敦賀市の実際の人口減少は社人研の推計よりも緩やかになる可能性はある」と思います。ただし、正直に言いますと調べてもよく分かりませんでした。分かる人、教えてください。

 

 

 

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