コロナウィルス対策の支援策、後出しジャンケンや批評だけにならないように、自分の案もご紹介しましたが、今の現状からみるとまあまあ妥当だったかな、と思っています。学校のオンライン化対応促進も提案(?)していて、これなんかは勇み足だったかな、国が前倒しでやると言っているのでアテにして待ってもいいかな、とかは有ります。けど、基本方針は間違ってなかったと自己採点しています。
ということで、敦賀市の人口減少対策シリーズを再開します。今回は5回目。
今回の結論的なことを先に書くと、
この5年間、敦賀市の人口減少対策は、もっと移住政策を頑張った方がよかったよなあ、
です。
この敦賀市の人口減少対策シリーズは久しぶりなので、振り返りから。
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1.シリーズ第1回~第4回の振り返り
まずは第1回~第4回は現状把握でした。要点を箇条書きで。
(1)敦賀市の人口減少
・敦賀市の人口は市が自分でたてた計画目標よりも、速いスピードで人口が減少している(5年くらい早いペース)。
(2)人口の社会減
・敦賀市の人口の社会減少は、平成24~27年の大幅減少の時期を脱したように見えるが、それは原子力関係者の動向が主な変動要因ではないか。
・敦賀市の人口社会減の抑制策の効果を示す明確なデータは示されていない。
・「人口の社会減の改善度合において、敦賀市が県下トップ」とは言える状況ではない。
(3)人口の自然減
・敦賀市の人口の自然減少は拡大し続けている。
・ここ5年間の自然減少の拡大の主要因は出生数の減少である。
・特にここ5年間、敦賀市の出生数の減少が大きく加速している。
・福井県全体と比べても、敦賀市の出生数は減少度合が大きい。
ここまでが振り返り。
この状況で敦賀市は5年間、どのような方針で人口減少対策に取り組んできたのでしょうか。
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2.ここ5年間の敦賀市の人口減少対策
さて、今から「ここ5年間くらいの敦賀市の人口減少がどういう方針だったか」について振り返ってみます。
結論から言うと、3つの時期に分けられるように思います。私の印象です。
(1)最初の3~4年=H27~H29かH30くらいまで
「流出抑制」が基本方針だった(そして「移住促進、転入促進は二の次」だった)。
(2)次の2年=H30~H31
微妙に軌道修正した時期。敦賀市の人口が想定より急激に進む中、「移住促進、転入促進」の政策が加味されてきた。
(3)現在=R1~R2
完全に軌道修正。
(1)~(3)は完全に私の印象です。間違っていたらごめんなさい。でも、根拠がないわけではなくて、市議会での答弁とか市の施策からのエビデンスをお示しします。
まず(1)の「流出抑制」が基本方針の時期。
「本市では、・・・転入促進よりは流出抑制及び定住促進に力点を置いていきたいという考え方でございます。」(H28年12月市議会での答弁)
「本市の人口減少対策につきましては、定住促進に力を入れているところでありまして、・・・」(H29年6月市議会での答弁)
(こういう時の答弁は、「しかし定住促進並びに転入促進にも力を入れていくべきと考えております・・・」と続くのですが、これは「転入促進」に力を入れては、と質問する議員への配慮で付け加えられたものだと思う。)
次に(2)の時期。
(2)の時期は、敦賀市のホームページに「つるが移住定住サポートサイトKURAS TSURUGA」が開設されるなど、移住希望者を対象とした転入促進の具体的な動きが見えてきた。
そして、(3)の時期。
(3)の時期は、今現在のことになります。軌道修正が明確になってきて、これは令和2年2月に示された第7次敦賀市総合計画の基本構想等の骨子(案)の資料からも分かります。資料では「前計画で大きく目標値と乖離した人口規模を最重要視し、人口を町の総合的な魅力を表すバロメーターと位置づけ。また、定住と分野を限定した取り組みに限界が見える中で・・・」、「人口減少対策に、全政策分野を総動員し、取組を推進」という記述があります。
私がずーっと疑問だったのは、(1)~(2)の時期、つまり平成27年から平成29年ごろまで、なぜ「流出抑制」政策にこだわったのか。
次の答弁が一つの理由だったと思う。
「福井県のデータに基づきますと、25歳から29歳までの大学進学時の流出人口につきましては県全体で約3000人でございまして、そのうちUターンされた方は452人となり、約16.3%と極めて低い水準であると聞いております。
このような背景から、必ずしもUターン等の政策効果が芳しくない中で、本市では、先ほど答弁させていただきましたように転入促進よりは流出抑制及び定住促進に力点を置いていきたいという考え方でございます。」(平成28年12月市議会での答弁)
この考え方は正しかったのか? 県と比べて答え合わせをしましょう。
同じデータを持っていた福井県はこの5年間、どのような方針で対策を打ってきたかというと・・、敦賀市と逆のことをしました。県は、このデータをスタートにして、特に若年層、特に女性を対象としてUターン促進の人口減少対策を進めていきます(例として下の資料の3,4ページをどうぞ)。
県はUターン率が低かったから、Uターン率を上げようとした。
敦賀市はUターン率が低かったから、Uターンには力を入れなかった。
で、どちらの判断が正しかったか。結果発表。
昨年(令和元年)9月に、県は「平成31年の新卒学生のUターン率は過去最高の32.1%、5年連続アップ」とその成果を発表しました。下の資料をどうぞ。
→令和元年9月の福井県の発表「新卒学生の『Uターン率』が大きくのびています」
平成26年の数字と令和元年の数字は見ている対象が違うので単純比較はできないのですが、この5年間、福井県の若年層のUターン率が大きく伸びたことは間違いありません。福井県は「やればできる子」でした。
県は、この5年間、移住政策にずっと力を入れてきて、様々な施策を打ってきました。上の資料にも書いてあります。また、実はIターンも伸びてきました。このように、県が「転入促進」の流れを作ってきた中で、敦賀市はその流れに政策的な判断で乗らなかった。もったいない。
とはいえ、福井県のUターン率が伸びているんだから、敦賀市のUターン率も伸びているんだと思います。
だけど敦賀市も県の政策に乗っかっていれば、もっと相乗効果も出せたんじゃないか。私は市議時代から「移住政策にも力を入れようよ」と言ってきたから、どうしても愚痴っぽく言いたくなる。
それでも、よく方針転換したとも思う(私が勝手に思っているだけかもしれないですが)。
「行政の無謬(行政当局は間違いを犯さない、犯してはならない)」という言葉があるように、行政は成果は強調しても、なかなか「間違えました」とは言えない。
実際、人口減少問題の議会答弁でも、社会減の幅が小さくなったら「平成27年以降の一定の成果があらわれている(平成30年8月の議会答弁)」。
3か月後に、社会減がまた悪化したことを指摘されると「その要因については特定が困難(同年12月の議会答弁)」。
そして、新計画策定に向けての総括では「大きく目標値と乖離、でも一定の施策効果は発揮(令和2年2月)」というよく分からない説明になってしまう。
見ていて本当にまどろっこしいけど、それでも敦賀市も今では「定住と分野を限定した取り組みには限界」という認識を明確にしたし、「移住促進、転入促進」にも注力してくれそうです。素直に良かったと思う。敦賀市も「やればできる子」のはず。
締めはこの人口減少対策シリーズでいつも言っているフレーズで。
「素直な現状認識と危機感を市民や市職員、市議会で共有することが、本当に市がやりたいことの推進力になる。」
今回も厳しめだったかなぁと後悔しつつ、さて、次回は人口減少対策の最終回、私の意見を少しご紹介したいです。
では。
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