昔、経営改革に関する本を読んでいて「アーリーサクセス」という言葉を知りました。改革をはじめたリーダーには早い時期に小さくてもよいから成果をあげ、周囲の雰囲気を変えることが必要だということです。アーリーサクセスによって味方も増えて改革が加速するということです。ですから、改革リーダーは、多少演出をしてでもアーリーサクセスを生み出してアピールするとよいのだと。
ただし、このアーリーサクセスは、改革の大方針に沿っていて、チームの心理状態にどのような影響を与えるかも考慮した周到なものでなければ、ただのパフォーマンスと見透かされます。よく「スタンドプレー」と言われるものに成り下がってしまうのです。
新市長就任後の訓示の際、市長が「裏金があるなら報告してほしい」と述べられ、その後の記者会見でも話題になりました。それを聞いて私は7~8年前宮崎県で東国原知事が就任した際の最初の県幹部への訓示で「裏金はございませんか」と呼びかけたのを思い出しました。東国原さんの場合は実際に3.7億円もの裏金が発覚したので、見事なアーリーサクセスとなりました。
渕上市長も東国原さんのことが記憶に残っていて、思わず「裏金」というセンセーショナルな言葉を公開の場で使ったのかもしれません。これがアーリーサクセスにつながるのか(つながらないほうがいいですが)、スタンドプレーだったのかは、これからおいおい分かることだと思います。
で、前回のブログでもう終わりにしようと思った「幼稚園保育料問題」を今回も取り上げます。
さて、私は6月議会で議論のあった「幼稚園保育料問題」でどうしても分からないことがありました。それは「どうして6月議会に補正予算を間に合わせようとしたのか?」です。(前にブログでも書きましたが、「9月だと来年の料金周知に間に合わない」という市長答弁は理由になっていません。)
で、今日お風呂に入っているときに、急に「アーリーサクセス」という言葉を思い出したのです。
やっぱり選挙も激戦だったし、20年続いた前市長の後ですから、「アーリーサクセス」が無意識にせよ欲しかったのかな、と思ったのです。もちろん保護者のことを考えて、ということが一番大きかったのだとは思いますが。
でも、今からやることやって(説明会や調査)、それを踏まえて保育料据え置きを再検討し、仮に9月や12月の議会に保育料据え置きの補正予算が出ても十分に「アーリーサクセス」だと思いますよ。
・・・なのですが、
今朝(7/10)の新聞を見ていてどうも気になるので念押しで。
**********************福井新聞(平成27年7月10日)****
閉会のあいさつで渕上市長は幼稚園保育料について
「段階的引き上げを継続する。そのため保護者に経過
説明を十分行うとともに来年度の引き上げに向けた説
明を丁寧にする」と述べた。
*****************************************************
実際にビデオで確認するとこの記事のとおりの発言でした。
これって「調査」とかして「据え置き」も含めて再検討する、って読めますか?
そのまま読むと「今年度は引き上げたままです。なんで引き上げたままになったかを保護者に説明します。来年度の2段階目の引き上げも説明します。」とも読める気がします。
まさかと思うけどこれで進んだら、今回の6月定例会までののアクションは「保護者のため」でも「アーリーサクセス」でもなくて、ただの「スタンドプレー」になってしまうと思います。
もしも、「議会の最終意思決定は『据え置き』反対なので、もう据え置くことは今年度は無理です」なんて説明したら、それは「逆スタンドプレー」、つまり相手(議会)を落とすためのパフォーマンスになってしまいます。
まあ、考え過ぎならいいのですが。
(「逆スタンドプレー」という単語は今、私が造りました。スタンドプレーはお客さんに自分をアピールするもの、逆スタンドプレーは相手を落とすためのもの、と定義しましょうか。)
さて、今回、組み替え動議に反対した議員と話をしても、「調査や保護者への説明をした上で、据え置き補正を再検討、そして据え置きという結論」がゴールだと言われていました。
ということは、9月以降、議会の大多数が、「今回の組み替え動議の主旨である『調査と説明はちゃんとやりましょ』ということをしつつ据え置きの是非を再検討する」という勢力になるのではと予想します。
6月定例会での議会の意思、そして9月定例会以降の議会の状況を考えると、市長、市側のアーリーサクセスの道筋は自ずと見えてくると思います。
そして、もしこのチャンスを逃すと、議会と市長の関係はかなり長くギクシャクするのではないかと思います。
「アーリーサクセス」
なのか、あるいは
「スタンドプレー」+「逆スタンドプレー」=「議会の大多数との長期的なギクシャク」
なのか、
選択できるのは市長だけです。
市長の度量、そして何よりも、市長が保護者のことを本当にどう思っていらっしゃるのかに注目して見ていきたい、と思っています。
まあ、考えすぎならいいのですが。
では。
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