”「敦賀・黒河小児童は3人きょうだい当たり前」から話を広げてみる”シリーズの5回め。
今回のサブタイトルは「少子化対策のモデルになれる(かもしれない)」です。
(1)敦賀市の出生数は急に減少している
ここ5年ほど、敦賀市の出生数は急速に減少しています。
減少率は福井県全体よりも大きい、というデータをこのブログでも紹介したことがあります。昨年令和2年(2020年)のデータを付け加えてグラフを載せます。
昨年は令和1年(2019年)よりも出生数は少し持ち直していますね。ただ平成30年(2018年)からは減っているのでまだ予断を許さないところです。10年前と比べ大体200人くらい出生数が減っているあたりで安定するのでしょうか。
(2)敦賀市の出生率は・・・なんでこんなに下がった?
さらに合計特殊出生率を見てみましょう。
敦賀市の平成30年(2018年)の合計特殊出生率は1.50。
平成20~24年の敦賀市の合計特殊出生率の平均は1.72ですから、急激に低下しています(敦賀市は平成25年には1.92という瞬間最大記録を出しているのに)。
福井県全体でみると平成20~24年の平均は1.57で、平成30年の出生率は1.67。福井県全体では上昇基調なのに、敦賀市はなぜ?
(合計特殊出生率とは一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子どもの数の平均です。日本全体では合計特殊出生率が2.07であれば親世代の人口水準を子世代が維持できると計算されています。)
(3)「東京は出生率が低いから、東京一極集中はよくない」と書いたのは一年前ですが
さて、厚生労働省から昨年10月に発表されたデータで面白いものが有ります。それは各市町村別で
「平成20~24年の合計特殊出生率」・・・①
と
「平成25~29年の合計特殊出生率」・・・②
を比較して、合計特殊出生率が増加した上位の市町村ランキングです。
興味深いのは、このランキングの上位50位内に東京都内の区市が5つもランクインしていることです。①→②の変化を見ると、例えば、
9位 東京都中央区 1.10→1.39(0.29の上昇)
19位 東京都千代田区 1.02→1.28(0.26の上昇)
ん?東京って出生率は低下傾向じゃなかったの?
そういう印象の東京のど真ん中で大幅上昇です。統計や研究を調べてみると上昇の要因は次のように考えられるようです。
・都市再生特区によりファミリー向けのマンション供給が都心部に増えた。その結果、ファミリー層が都心に住めるようになり、千代田区、港区、中央区、江東区などでは人口が増加した(そして、保育所不足が深刻になり、政治問題化した)。
・一方で政策的に保育サービスの制度の改善された続けていたので保育の受け皿が拡大していた。その結果、女性の就業率が上がり、出生率が上昇した。
ここで大事なのは、政策的に出生率を上げることができたということです。これは私の印象や意見だけではなくて、専門家の実証分析もあります。
(4)黒河地区は少子化対策のモデルになれる(かもしれない)
さて、このシリーズで取り上げたように、敦賀市の中でも黒河地区みたいにきょうだいが3人、4人と多いと地区があります。
じゃあ黒河地区はなぜ「3人きょうだい当たり前」地区なのか、その理由や他の地区との違いが分かれば政策的に頑張れる要素があるかもしれない。(偶然です、という結論もあるかもしれない)
それが今回の「少子化対策のモデルになれる(かもしれない)」の意味です。
(5)ただし、注意点(そして次回につづく)
じゃあ政策的に頑張れる要素があるとして、気になるところがります。注意点を上げておくと、
・「東京都心部の出生率の上昇」と「黒河地区は3人きょうだい当たり前」は同じ理由なのでしょうか?(同じような政策で同じような結果になるでしょうか?)
また、
・出生率を上げることが少子化対策の肝になるのでしょうか?(合計特殊出生率が2.07で敦賀市の人口は維持できるでしょうか?)
さらに、
・敦賀市が本当に力を入れるべき少子化対策、人口減少対策とは何なんでしょうか?
今回もだいぶ長くなってきましたので、次回のブログで書いてみたいと思います。
このシリーズ、当初予定より1回多くなってしまいました。
ではまた次回!
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