さて、第3回です。今回はちょっと長め、です。
2.学校とまちづくり
前回も書きましたが、黒河小学校は私が在校時には廃校寸前でした。小学校4年に上がるときに公文名の同級生たちが粟野南小学校に転校したので、1クラス13人になったことを覚えています。私にとっては、この少人数が最高によかった。落ち着きない子どもだったのですが、先生の目が行き届きすぎるので、ちゃんと勉強するようになりました。
それが40年経って、市内でただ一校だけ児童数が増加(平成21年→平成30年)して、福井新聞の元日記事で取り上げられるのだから・・・、卒業生ならずとも本当に興味深い事例です。
さて、私は市議時代の平成30年(2018年)6月の市議会で「角鹿小中学校区の人口維持」について質問をしました。私の問題意識としては、
・角鹿地区では、北小学校、咸新小学校、赤崎小学校そして角鹿中学校を統合して「角鹿小中学校」を新設することが決まった。
・「角鹿小中学校」新設にあたり、新校舎も建設する。新校舎は今後50~60年は使用することになるだろう。
・一方で、角鹿地区の児童、生徒数は減少傾向にあり、角鹿中学校の生徒数の減少数は10年間で200人→150人、減少率は25%。2023年には約120人になる見込み。
・このままの傾向であれば、10年、20年後には中学校生徒数100人、1学年1クラスの可能性も出てくる。
・だから、現校区のまま「角鹿小中学校」として残すのであれば、この校区の人口減少対策とワンセットであるべきではないか。
つまり、
「中学校再編の選択肢もあった中、角鹿小中学校を新しく建設する。ということは、生徒数の維持の前提となる『この地域のまちづくり』のイメージが有ると思うんだけど、それを教えて。」
ということです。
これに対し、市の答弁は、
・学校区単位の人口目標や計画はない。
・市全体の人口減少を抑制すれば、角鹿中学校区の将来人口の維持につながると認識している。
・(角鹿小中学校区での人口減少施策はないのか?という質問に対して)角鹿校区で取り組んでいる事業としては次のものがある。
・・氣比神宮を起点として門前町~キッズパーク~博物館通りの活性化、空き店舗の活用
・・金ヶ崎緑地のにぎわいの創出
・・第2産業団地の整備による働く場の創出。できるだけ団地の周辺に住んでいただければありがたい。
・・東浦みかんのブランド化
・・国道8号の東浦バイパス
・・新幹線駅東地区の開発と道路整備
・・南越前町、長浜市との鉄道遺産を活用した広域観光ルート連携
さて、この市の答弁から角鹿校区に子どもが増えそうなイメージは湧いたでしょうか。
私は正直、湧かなかった。というより「今までこういう観点で考えてなかったんだろうな」としか思わなかった。「質問されたから、とりあえず角鹿校区でやっている事業を並べて答えておこ」という感じでした。
「学校」の存続問題は「教育」の話であるのは当然ですが、「まちづくり」や「その地区の将来像」に深く関わる課題です。本来であれば、「その地区の将来像」を考える中で「学校」のあり方を考えなければいけない、と私は考えています。
しかし、議会での市の答弁からは「観光は観光」、「工業は工業」、「農業は農業」、そして「学校は学校」と個別バラバラにしか取り組めていない、「その地区の将来像」は共有されていない、ということを強く感じました。
ところで、市には平成21年(2009年)に改訂された「都市計画マスタープラン」というものがあり冊子(全88ページ)になっています。前にもブログで書いたかもしれませんが、これは大変よくできていて、実は「地域別構想」という章も36ページ分もあります。もっとこの「プラン」を上手く使えばよかったのに。
そして、まさに今、新しい「都市計画マスタープラン」を策定中です。ここで出てくるであろう「地域別構想」を楽しみにしたいと思います。
さらに言えば、この「都市計画マスタープラン」は全市域が対象になっていない、改訂の間隔が長く直近の環境変化に対応しにくい、という弱点もあります。そういう意味では「地域別構想」は「都市計画マスタープラン」にこだわらず、検討したほうがいい、というのが私の意見です。
私は、いろんな人から話を聞く中で、「市街地に住みたい!」という需要や願望はあると思っています。そしてポイントは住宅事情ではないかと推測しています。核家族化、車社会化の進んだこの40年間で、どうして粟野地区で家が増えたのか、を考えつつ市街地の住宅事情をみると、土地価格や敷地、駐車場の広さが一番の差異のように思えます。
市街地への人口誘導は簡単ではないですが、住宅事情の観点から他の市町も含めて見てみると、いくつか成果が上がっているものもあります。例えば、
・富山市の公共交通(「LRT=次世代型路面電車」や「バス」)の沿線に人口を誘導するための補助金制度(住宅事業者にも購入者にも補助が出る)。
・敦賀市でも平成20年(2008年)~平成24年(2012年)に実施した「まちなか住居事業」。5年間で46軒の一戸建てを建設。
他にも、
・空き家バンクを有効活用したら、移住希望者が殺到して物件が不足するようになった。
という市も有ります。
もちろん、こういう具体論の前に、「人口をまちなかに誘導することへのコンセンサスがあるのか」、「敦賀市のまちづくりの全体像をどう共有するのか」などの話が先にあります。「コンパクトシティ」とか「立地適正化計画」とか、市民の理解を得ているのか・・・。
こんな感じで学校の話ひとつで、いろいろ広がるのも行政とか政治の面白いところだと思います。
ということで、今回の結論のようなものを。
・学校など地域に大事な公共施設は、地域のまちづくり、むらづくりとワンセットで。
・こういう話を市役所内で部署横断でやろう、ね!
ではまた次回。
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